newscuntry’s diary

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何故トルコがシリアに侵攻!? 経緯を解説

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2019年10月9日、トルコはシリアの北部から北東部に掛けた自治領であるロジャヴァに侵攻を開始しました。

このロジャヴァという地域は主にクルド人によるシリア反体制派組織によって建てられた自治領ですが、何故そのような場所にトルコが侵攻したのか?

この事件には一連のややこしい経緯があり、今回はトルコがシリア侵攻に至った経緯を5つの点にまとめ簡単に解説します。

 

目次

☆1.シリアでの内戦が勃発

☆2.ISILがシリアで活動開始、複数の派閥が生まれる

☆3.トルコがアメリカ、そしてYPGと関係悪化

☆4.トルコとYPGの関係

☆5.YPGへの協力によってアメリカとトルコとの関係が悪化した結果・・・

☆おまけ.そして事件が起きた・・・+10/15時点の現況

 

 

1.シリアでの内戦が勃発

シリア内部で現政権に対する不満を持った人々が反乱を起こしシリア内戦が勃発、これによって反体制組織である自由シリア軍(以下FSA)、そして今回の件で重要になる"YPG"が構成されます。

ここまでは特に問題も無かったのだが・・・

 

2.ISILがシリアで活動開始、複数の派閥が生まれる

皆大好き(な訳ない)ISILがシリアでも活動を開始します。

A.アメリカ等欧米諸国を中心とした連合軍

B.シリア政府軍とそれを支援するロシア軍

がISILに対し掃討作戦を行い、そして今回問題になっているトルコとFSA、そしてYPGはAの派閥と協力してISILに立ち向かいます。

 

↓大まかな勢力図にすると・・・

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青い線は友好関係、赤い線は敵対関係を表しています。

 

3.トルコがアメリカ、そしてYPGと関係悪化

トルコは元々アメリカから最新鋭ステルス戦闘機である"F35"の購入を予定していました。

しかしそんな最中にトルコはロシア製の地対空ミサイルシステムである"S400"の購入を検討したためアメリカはこれを非難しました。

トルコが突然ロシア製兵器を購入しようとした事をアメリカは『元々アメリカの同盟国である筈のトルコが、アメリカの敵対国家であるロシアからの兵器購入はアメリカへ対してトルコが敵対路線に進もうとしているのではないか』という防衛戦略上の不安を抱かせた為、アメリカはトルコのS400購入検討を非難し、F35の輸出中止を選択しました。

しかし何故トルコ突如としてそのような一見不可解とも取れる行動を取ったのでしょうか?

それはトルコとYPGの関係、アメリカとYPGの関係性が原因でした。

 

4.トルコとYPGの関係

YPGの正式な名称は"クルド人民防衛隊"と言います。

そしてこのYPGに対してトルコ政府は当初から警戒心を持っていました。

それはYPGがトルコ国内で活動していた組織、"クルディスタン労働者党"(PKK)の一派ではないかと疑われていたからです。

そのPKKという組織はトルコ国内で何十年間も抑圧を受けてきたクルド人達が立ち上げた組織で、武力を行使してクルド人の独立国家建設を目指す武装組織であった為PKKとの関係性が疑われるYPGに対してトルコ政府は警戒心を持ち続けていました。

 

☆5.YPGへの協力によってアメリカとトルコとの関係が悪化した結果・・・

更にYPGの立ち位置にも問題がありました。

数年前からニュース番組等で取り上げられていましたので知っている方も多いと思いますが、アメリカ当初FSAに協力して彼等の打倒シリア政府へ向けた闘いを支援していました。

しかしISILがシリアに現れた事によって状況は大きく変わってしまいます。

シリアを取り巻く多くの勢力はISILに立ち向ったのですがISILに対してあまり戦果を挙げられないFSAへの支援をアメリカは減らしてしまったのです。

アメリカはその代わりにより戦力に優れたYPGへの支援を増やし、その結果シリアからISILを追い出し壊滅させることに成功します。

ただその過程でYPGはシリア政府軍との戦闘をあまり行わなくなり、これがFSA等他の反体制派から反感を買い、同時にアメリカもYPGへの重点的支援やその結果彼等が自治ロジャヴァを獲得した事によりトルコとの関係が悪化しました。

そして遂にトルコはFSAと手を結びロジャヴァへの侵攻に至ったというわけです。

↓そしてこうなった

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おまけ.そして事件が起きた・・・+10/15時点の現況

トルコの侵攻に対して有ろう事かトランプ氏は米軍のシリア撤退を発表しました!

(世界の警察がニートになっちまったぜ・・・)

まあ結局アメリカはISILを倒したかっただけなのでしょうか。

もちろんアメリカに協力したYPGにとってはいきなり裏切られたようなものなので彼等も怒り、 なんとYPGはシリア政府とロシアの支援を受ける事を発表!

流石にトランプさんも放ったらかしにするわけもなく、少数の部隊を現地に留まらせる事を決め、トルコに対しても経済制裁を行うと発言しました。

そういえばトルコの空爆クルド人が捕まえたISILの捕虜が大勢逃げ出したようですが・・・シリアの運命はどうなる事やら。

 

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